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ティクーン・デボーション No.8

  • tikkunjppartner
  • 2021年4月6日
  • 読了時間: 5分

更新日:2021年5月2日

4月5日 Ⅱテサロニケ2 章

「3 だれにも、どのようにも、だまされないようにしなさい。なぜなら、まず背教が起こり、不法の人、すなわち滅びの子が現れなければ、主の日は来ないからです。4 彼は、すべて神と呼ばれるもの、また礼拝されるものに反抗し、その上に自分を高く上げ、神の宮の中に座を設け、自分こそ神であると宣言します。・・・9 不法の人の到来は、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力、しるし、不思議がそれに伴い、10 また、滅びる人たちに対するあらゆる悪の欺きが行われます。なぜなら、彼らは救われるために真理への愛を受け入れなかったからです。11 それゆえ神は、彼らが偽りを信じるように、惑わす力を送り込まれます。12 それは、真理を信じないで、悪を喜んでいたすべての者が、さばかれるためです。」



イスラエル南部のベイト・グヴリン遺跡 ネティブヤのハナ・コヴナーさん提供


・この箇所は、「主の日」すなわち主の再臨が起こる条件として、第一に「背教」が起こること、第二に「不法の人」が現れて神の宮(再建される第三神殿)で自らを神とすること、が挙げられています。ここで「背教」が何を意味するのかはあまりはっきりと語られることはありませんが、この御言葉が背景となっているダニエル書11章を見れば、その意味はおのずから明らかになります。背教とは、ギリシャ語でアポスタシアの訳語ですが、アポとは「~から離れる」という意味の接頭語、スタシアとは「固く立つ」という意味の動詞に由来します。ですから、背教とは、「御言葉に固く立つこと」から「離れる」状態を指します。なぜ離れるかと言えば、「不法の人」の偽りの力また悪の欺きがあり、そして惑わす力が送り込まれるからです。では、その力の本質は何なのか?答えは、ヘレニズムです。


・ダニエル書 11 章 29~39 節によれば、一人の王が南へ攻めていくが、キティム(ギリシャ/ここではローマの意)の干渉によってそれが妨げられるので、「聖なる契約」に怒りの矛先を向け、ついに「聖所を冒し、常供のささげ物を取り払い、荒らす忌まわしいものを据え」るようになります。そして、彼は、「聖なる契約」を捨てた者たちに心を向け、「契約に対して不誠実にふるまう者たちを巧言をもって堕落させる」が、「自分の神を知る人たちは難く立って事を行」います。これは実は驚くほどの正確さで、ギリシャ=シリア帝国アンティオコス四世(エピファニウス)の涜神とそれに対するユダ・マカベア戦争(BC167 年~)を預言するものなのですが、それは同時に終わりの時代に世界大で起こるべき出来事の「ひな型」でもあります。


・アンティオコスは、ギリシャ帝国・アレキサンドロス大王の継承者として、ギリシャ精神(ヘレニズム)が世界の支配原理となることを目指しましたが、その根底には「人間中心主義」があります。人間の肉体と精神の力と美を称賛し、それを極めることを目標としたヘレニズムにおいては、宗教も神話に彩られた虚構に過ぎず、自然の力に恐れをなしながらも、あくまで人間がそれをコントロールするための方法を提供するものでした。捕囚帰還後のユダヤ人社会も、このヘレニズムの猛威にさらされました。そして神殿祭司やエリート層(後にサドカイ派と呼ばれるようになる)を中心にヘレニズムの抗しがたい魅力に引き込まれたユダヤ人主流派は、名前や生活スタイルをギリシャ風に変えるだけでなく、やがてユダヤ人としての精神的核心-生ける神様との人格的な関係に生きる-を捨て、これをギリシャ的合理主義によって形式的で有名無実のものとしていったのです。彼らは、「見えるところは敬虔であっても、その実を否定する者」(Ⅱテモテ3:5)となりました。そして、アンティオコスがその狂気を発揮してユダヤ人の神殿を徹底的に冒涜したとき、彼らは「契約に対して不誠実にふるまう者たち」として「堕落(fall down)」、すなわち「背教」していきました。しかし、あくまで神との契約に固く立って、これ忠実に生きようとした人たちがいました。祭司であったユダ・マカベヤとその子供たち-ヨナタンやシモンら-です。それはヘレニズムにどっぷりとつかったユダヤ人社会に一大覚醒をもたらし(敬虔派[ハシダイ]の人々の勝利)、遂には独立を勝ち取るに至ります(ハスモン王朝/ハスモンとは、ハ・シメオン[シモンの]の意味です)。


・「不法(ア・ノミアス)の人」とは、文字通り、lawlessness、つまり「神の律法(トーラー)を否定する人」ということです。生ける唯一の神が、義と聖と愛に基づき、主権者として全被造物をおさめること-これこそヘブライズムの核心であり、トーラーの神髄です-を否定する者、それが「不法の人」のひな型です。アンティオコスはその原型として、歴史上、文字通り、トーラーを否定し、神の主権を否定して、自らを神としました。彼は、こうして、美しい装いをまといながら、その下に隠された凶暴で残忍なヘレニズムの正体を暴露してみせたのです。


・終わりの時代にも、これと同じことが、しかも全世界規模で起こります。惑わしの力は、いつの時代も、ヘレニズムが称揚する世界観-人間中心主義-です。今日においては、「神なき」平等(ポリティカル・コレクトネス)の主張もその顕れの一つであるかもしれません。クリスチャンであっても、あくまで神の主権と神が設けられた聖なるバウンダリー(それは人間の幸福のために設けられた守り)に忠実に歩むことがない限り、「不法の人」の到来に際して、これに耐えることができないかもしれません(背教の危険性)。今、いよいよ、私たちにとっては困難な時代になりつつありますが、見方を変えれば、それは、聖なる契約に固く立つ人々とそうでない人々を分けることよって、主のときがさらに近づいていることを示すものであるのかもしれません。


「万物の創造者であり主権者である神と王なるキリストに、どこまでも忠実に歩むことができますように!欺きの力を見分けて、あなたの御心を正確に悟ることができますように。聖霊様、私たちを助け、導いてください!」

 
 
 

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