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ティクーン・デボーション No. 26

  • tikkunjppartner
  • 2021年8月10日
  • 読了時間: 5分

2021年8月9日


創世紀 17:1 アブラムが九十九歳になったとき主はアブラムに現れ、こう仰せられた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前を歩み、全き者であれ。17:2 わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に立てる。わたしは、あなたをおびただしくふやそう。」17:3 アブラムは、ひれ伏した。神は彼に告げて仰せられた。17:4 「わたしは、この、わたしの契約をあなたと結ぶ。あなたは多くの国民の父となる。17:5 あなたの名は、もう、アブラムと呼んではならない。あなたの名はアブラハムとなる。わたしが、あなたを多くの国民の父とするからである。17:6 わたしは、あなたの子孫をおびただしくふやし、あなたを幾つかの国民とする。あなたから、王たちが出て来よう。

1 今日は、アリエル師の著作「新しい一人の人」から、なかなか私たちだけでは気づきにくいヘブル語聖書の読み方を紹介したいと思います。


5節で、主は、アブラムにアブラハムと改名するように命じられます。それは、アブラハムが「多くの国民の父となる」からだというのです。確かに、その名を分解すると、「父」を表すアブと、「多数の」を表すハモンという言葉から成り立っていることが分かります。そして、4節を見ると、アブラハムが「多くの国民の父」となるのは、神様が「わたしの契約をあなたと結ぶ」からだというのです。


2 ところで、4節を英語(KJV)で見ると、As for me, behold, my covenant is with you. となっており、これは先に見た新改訳とほぼ同じ意味です。ただ、新改訳では「わたしは」とあるように、神様が主語になっており、途中で「この」という言葉をはさんでいるのは、behold に当たる言葉を何とか訳しだそうとする翻訳者の努力だと思います。それに対して、英語(KJV)では、As for me(私について言えば)という何とも不思議な言葉が挿入されており、そして主語は、my covenant(私の契約は) となっています。どうして、こう訳がぶれるかというと、元々のヘブライ語が意味の取りにくい表現となっているからなのです。つまり、ヘブル語を直訳的に表現すると、それは、 Behold,I am my covenant with you. (見よ、わたしが、あなたとの私との契約である)というようになります。英語訳や日本語訳では、神様はアブラムと契約を結ぶ、その内容はアブラムを多くの国民の父とするものである、というように理解されるのですが、ヘブル語では、神様は、アブラムに対して、「私自身があなたとの契約である」と言い、それがアブラムを多くの国民の父とすることにつながっていく、というように理解されます。


3 神様がアブラムに「神ご自身が契約、である/となる」という、一見、奇妙なメッセージも、マタイ福音書の1章のはじめを読めば、分かってきます。つまり、「アブラハムの子孫、ダビデの子孫、イエス・キリストの系図」とある通り、イエス様は、アブラハムの子孫として、アブラハムからはるかに時代を下って生まれられました。イエス様は、神の御一人子であり、父なる神様と一体ですから、神ご自身がアブラハムの子孫となって、つまり人となってお生まれになった、ということもできるのです。加えて、アリエル師は、師匠のイントレーター師に倣い、アブラハムに語っているのは、イェシュアご自身-受肉前の-だと理解します。つまり、旧約聖書で、YHVH(ヤーウェー・主)として啓示されているのは、イエス様ご自身であるという解釈を示されます。ですから、文字通り、受肉前のイエス様が、アブラムに対して、「わたしはやがて人として、歴史の中であなたの子孫として受肉しますよ」と語っていることになるのです。


4 イエス様は、こうしてご自身の契約を果たすべく、アブラハムの子孫として誕生されました。それは、ご自身の御からだと御名の中にすべての諸国の中から選ばれた民を引き受けられ、一体化させ、こうして彼ら(我ら)もまたアブラハムの子孫とすることによって、アブラハムとその子孫に与えられた契約に与らせるためだったのです。


 そもそも、神様はイスラエルの民と契約を結ばれたのであり、諸国民や異邦の個々人と契約を結ばれたのではありません。イエス様も、アブラハム契約とは別の新しい契約を異邦の民と結ばれたのではありません(これは典型的な置換神学的な理解です)。では、どうやって、この契約の中に異邦人を連ならせることができたのでしょうか。それは、「あなたがたは罪によって、また肉の割礼がなくて死んだ者であったのに、神は、そのようなあなたがたを、キリストとともに生かしてくださいました。それは、私たちのすべての罪を赦し、いろいろな定めのために私たちに不利な、いや、私たちを責め立てている債務証書を無効にされたからです。神はこの証書を取りのけ、十字架に釘づけにされました。」(コロサイ2:13-14)とあるように、ご自分の御身によって、異邦人を神様から隔てている全ての債務証書を無効にされ、今やイエスの御からだの一部となった諸国の民を、みなアブラハムの直系に属する聖なる契約の民となされることによってでした。これはイエス様の十字架にあって、はじめて「新しい一人の人」が実現されたことを意味するのであり、実にそのためにこそイエス様は「アブラハムの子孫として」生まれる必要があったのです。


5 こうして、イエス様のゆえに-新しい一人の人が形造られることによって-アブラハムは「多くの国民の父となる」という約束が成就しました。

 最後に一言。なぜ、このことが、アブラハムの改名に結び付くのでしょうか。アブラハムという名は、アブラムという名前にヘブル語のヘイ(h)という文字を足すことによるのですが、ご存じのように、ヘブル語のヘイ(h)は、神様を表す聖四文字(YHVH)に二つも含まれるものとして、神様もしくはイエス様を表しています。これは文字通り、イエス様がアブラハムの名前の一部に組み込まれることにおいて、人としてはアブラハムの子孫としてお生まれになるという受肉の神秘を表しているとも読めるのです。

 

 以上から分かることは、やはり「聖書のことは、ユダヤ人に聞け」ということです。特にメシアニック・ジューの兄弟たちには、ヘブル語での聖書理解を解きほぐすことで、私たちのイエス様への信仰をますます強め、励ましてくれるから、大いに感謝ですね。こうして、私たちがお互いに良きものをもって仕え合うことで、「新しい一人の人」の実がますます豊かに実りますようにと祈ろうではありませんか。


 
 
 

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